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闇の子供たち

【監督・脚本】阪本順治 【原作】梁 石日 【出演】江口洋介 宮崎あおい  妻夫木聡 佐藤浩市 鈴木砂羽  豊原功補 ほか

元気なら売春か臓器提供、病気になればゴミ袋で…。
あまりに残酷なタイの幼児問題で、一番の顧客が日本とは!

オススメ度…★★★★/☆

   あ ら す じ 

バンコク駐在の新聞記者・南部は、東京本社からある調査を依頼された。
「日本人の子供がタイで受ける臓器移植について」だ。
やがて闇ルートで聞き込みを始めた南部は、臓器を提供するのは“生きた子供”だという驚愕の事実につき当たる。

一方、NGOの音羽恵子は、同じバンコクで、1人でも多くの子供を児童売春の地獄から救う活動していたのだが…

感   想  

 元気な子供は売春宿に売られ、10歳にもならないうちから、幼児性愛者のオモチャとなる。それだけでも想像しがたい苦痛だろうに、口での行為を強要されたり、ホルモン薬を注射されたり、時には子供同士のセックスショーをやらされる。当然のように彼らは感染症にかかるが、その後は生きたままゴミ袋に入れられるという。

 そしてもう一つの値段が、臓器提供。「生きたまま」手術台にのせられて、心臓を抜き取られるというのだ。命の平等なんて語りたくはないけれど、あまりにひどすぎやしないか。何千万円あまりをかけて救われる命と、ただ同然で生きたまま殺される命。同じ人間の命だというのに…!貧しい村に生まれた時点で、どのみち地獄しか残っていないというわけなのか。

 この映画は、映画としての評価よりも、この事実を世界に伝える使命を負っていると私は思う。おそらく、この問題は、相当根深くて、ひとえに「誰が悪い」では解決しないと思われるから。たかだか3万8000円のために(原作の本の内容より)…と思いたくなるが、そうせざるを得ない社会構造があるんだろう。「ひどい親だ」と憎むのは簡単だが、そういう簡単な問題ではない。売買の中心にいる仲介人ですら、過去の被害者であったりするのだ。

 では、政府レベルで話し合って解決はできないのか。となると、日本も「加害者」であることから大きく取り上げられないのかも知れない。だからこそ、映画のような、自由表現の場から民間の意識を高め、政府が“動かざるを得ない”状況を作る事が解決策になることもあるのだろう。

 ただ、その意味において、この映画は少し“映画っぽく”なり過ぎてしまっていて、そこだけが悔やまれる。終盤の「坂本監督自ら脚本を執筆したドラマの驚くべき『落としどころ』」があるのだが、あの部分をいれることでそれまでのリアリティが色あせてしまった気がする。タイの事実を見て来たはずなのに、なぜか南部のドラマみたいな終わり方。監督的には「誰にとっても他人事じゃない」と言いたかったんでしょうけど…。必要か、そこ!?

 さらには桑田さんのオリジナルソングも、なんだか演歌。。。やっぱりあそこはタイの音楽、むしろタイの子供達の歌を聞いて、本来の子供の明るさを感じたかった。

 などと色々書いたが、まずは事実を知る事から。ましてやタイに観光することも日常的な我が国の1人として、知らないなんて無責任だと私は思う。ぜひ1人でも多くの人に見てほしい。

印象に残った セ リ フ 

「見て、見たままを書くんだ」

事実を事実として世界に伝えて、構造の根元を断ち切りたいという新聞記者の言葉。
一方で、目の前で消えかけている一つの命を救いたいと願うNGOの女性。
ぬくぬくした国で平和ボケしてる私から見ると、二人とも立派過ぎます。