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山のあなた 徳市の恋

【監督】石井克人 【脚本】清水宏(原題「按摩と女」) 【出演】草なぎ剛 加瀬亮 マイコ 堤真一 広田亮平 三浦友和

「心の入浴料=どなた様も1000円」が憎い♪
昭和ムード漂う美しい映像が、石井克人らしい作品。

オススメ度…★★★★/☆

   あ ら す じ 

徳市と福市は、目の不自由な按摩。
山の温泉場と海の温泉場を季節に応じて移り変わることで有名だ。
ある年、山の温泉場へと徒歩で向かう2人の横を、東京から来た美千穂を乗せた馬車が通り過ぎていく。

同じ日、宿屋に呼ばれた徳市は、客が馬車の女と直感。
徳市は、美千穂にほのかな恋心を覚えるのだが、どうやら、別の宿の客である真太郎も彼女を好いている模様。
そんな折、宿屋で盗難騒ぎが起こり、美千穂にも疑いがかかることに…

感   想  

 思えば、初めて石井監督の面白さを知ったのは、「PARTY 7」という何とも下らない小作品だった。映画館で笑いを堪えるのが必死で、後に「鮫肌男と桃尻女」をレンタルで鑑賞。なんてしょうもない(褒め言葉!)ことを考える人だ!と思ったものである。

 ただ、近年の「茶の味」はちょっと様子が違った。話自体は独特のくだらなさが漂いながらも、映像の美しさったら感動もの。緑が、すっごく緑で。ゆるやかな間合いといい、その和み感といい、自然の雄大さといい、「あれ?こんな平和な人なの?」と拍子抜けするくらい。まさしく「昭和」を思わせるものだったのだ。

 本作では、その「昭和」感が、全体を包み込んだという感じ。風景が美しい。そして懐かしい。監督が「リメイクというより完全カバー」と言い切るのもなるほど。映像のなめらかさ以外は、本当に昔の映画さながらの雰囲気が100%出ている気がした。

 按摩さんが、東京から来た女性に恋をする。ただそれだけで、別段、何も起こらない。なんてことない話だけど、不思議と退屈しなかった。むしろ、同じ温泉街に入り込んだ気分で見入ってしまう。石井ワールド健在といったところか。

 マイコさんとかいうモデルさんは、演技初挑戦らしいが、抑えた演技が非常に素晴らしかった。堤くんも相変わらず非の打ち所がない。ただ唯一、按摩さん達の“目が見えない”演技が少々大袈裟過ぎた気がするのは私だけなのか。草なぎくんにいたっては、肩のもみ方が時にいやらしく見えることすら…。あれが、もう少し自然なら、もっと入り込めたのになぁ

印象に残った セ リ フ 

「無理を通せば、道理が引っ込む」

「自分たちを追い抜いた学生を追い越すなんて無理だ」という福市に対し、
徳市が言った言葉。
もともとあることわざなんだろうけど、あらためていい言葉だなと思ったので。