kao*iro >> シネマの間 >>その名にちなんで

その名にちなんで

【監督】ミラ・ナイール 【原作】ジュンパ・ラヒリ 【出演】カル・ペン タブーイルファン・カーン ジャシンダ・バレット ほか

自分の名前も、存在も、
すべて親が与えてくれたものだということに、改めて感謝。

オススメ度…★★★★★

   あ ら す じ 

1974年、インドの学生アショケは列車事故に遭うが、
ニコライ・ゴーゴリ著の本を握りしめていたおかげで、九死に一生を得る。
その事故直前に親しくなった老人から「海外に出て経験を積め」と言われたことをきっかけに、アメリカの大学へ。

やがて美しい妻アシマと結婚し、生まれてきた男の子に奇跡の象徴として“ゴーゴリ”と名付けた。

アメリカで生まれ育ったゴーゴリは、2つの国の文化に翻弄されながらも、
その名前に込めた思いを父に聞かされ、何かが少しずつ変化していく

感   想  

 久々の映画を観れた喜びで、ちょっとハードル下がっていたのかな。★5つの満足度です。

 数年前から、うちのオカンがよくいう「人生はもちまわり」的発想がそのまま映画になっていました。表舞台で自分が主役となる青春期、主役としてのクライマックスである結婚を越えると裏舞台へくるり。支える側の親になり、子どもの旅立ちを見届け、余生、そして死…。

 この映画では、親夫婦であるアショケとアシマの青春期から始まり、子どもゴーゴリの誕生、その子どもの青春期とまるまる一巡りを観る事で、そのまま自分の人生に転換されて体験できます。ゴーゴリの自立心が際立ち、親に反抗するあたりなんて、まるで自分のことみたいに寂しかったし。

 誰の一生も、その人が主人公の映画みたいなもの。結婚があり、出産があり、身近な人の死があり。それらは普通の出来事でありながら、本人にとっては奇跡的なエピソード(映画で言うところの「天の恵み」)ばかりなんですね。一日一日を楽しんで生きないともったいないなとあらためて思います。

 同時に、人生を楽しむチャンスを与えてくれた親に感謝。オトンとオカンが私を作ってくれなければ、私のすべては存在していないんですもんね。それって、考えれば考えるほど不思議な気分です。なんか映画の本筋をあんまり描けてませんが、要はそういう事を感じられる映画ということです。

 あと、インドの文化を覗けるという点でも良かったです。化粧なんかは、さすがに「コントか?」と思ってしまう部分もありますが、お食い初めやら、結婚式やら、お葬式やら、すべてが興味深かったです。

 さらに余談ですが、ゴーゴリの人生は、列車であった爺さんの「海外に出ろ」という一言で180度変わりました。かくいう私も、学生時代にバイトで出会った男性の「コピーライター目指してんねん」という一言で、現在の職に就いています。(それまでは「コピーライター」という職種さえ知らなかった…) 人生には、運命を左右する一言に、まったく偶然に出会うことがあるのかも知れませんね。

印象に残った セ リ フ 

「全てを与えてくれた 親たちに捧ぐ。」

エンドロールのメッセージです。

大人になった今思うと、「私の人生は私のもんだ!」などと言っていた思春期を申し訳ない限り。
親が「あんたの人生はあんたのもんやで」と言うのとはワケが違いますよね。
親がいなければ私は存在しないし、名付けてくれなければただの名無しになってします。
そんな当たり前の事にあらためて有り難さを感じる一言でした。